ウクライナと東部で内戦中のドネツク人民共和国が作ってしまった新型サブマシンガンについてです。
見た感じですが、どこかの内戦中の一小国が作ったものとは思えないほどちゃんと作れています(メディアで流すくらいですから自信があると思われますが)。ドネツク人民共和国はウクライナからの独立を宣言し、内戦中の未承認国家の一つなわけですが、ドネツクなどがあるウクライナ東部にはソ連時代からロシア人と工場地帯が密集していました。そのような昔から培ってきた技術があれば、頑張れば短機関銃程度一から作れてしまうのでしょう。独ソ戦時のスターリングラード包囲戦さなかに町の爆撃でぼろぼろになった工場で開発された短機関銃の話をほうふつとさせます。
まず、ピストルグリップとハンドガードは木製のようです。ストックはなく、後方のリングに直接スリングをつけられるようで、画像では旧ソ連圏では一般的なAK用のスリングがついています。
そもそもの用途が特務偵察部隊用ということで、サプレッサー標準装備です。また、弾丸はマカロフPMと同じ9x18mm弾とのことです。機関部を作る際何を参考にしたかは謎ですが、コッキングハンドルはAKと違い左側についています。薬きょうは真上に排出されるようです。こういった違いから部隊内でAKと組み合わせて使用するには多少問題が起こるかもしれません。
マガジンの排出は差込口付近のレバーをマガジン側にひいて行うものと思われます。セレクターレバーらしきものがあるのでもしかするとセミオートも選べるのかもしれません。バレルジャケットには放熱用の穴があけられておりますが、近年世界中で主流の樹脂をふんだんに使ったスマートなサブマシンガンなどと比べると、木と鉄のいかにも「銃」といった作りです。
ドネツク人民共和国も武器に関してはロシアから堂々と支援が受けられるわけではないので、消音に特化した短機関銃などは意外に不足しているのかもしれません(AK系突撃銃はソ連軍から受け継いだ倉庫に有り余っているとのことですが)。また、現在のドネツク人民共和国の様に市街地で治安部隊が大きなAKをぶら下げて歩いているのも一般犯罪には威力が高すぎます。また、そこで生活する市民の精神衛生上よくはないですから、これからこの銃がより生産されることになれば警察官も持つようになるかもしれません。
もし皆さんがネットやテレビの映像でなんだこの銃は?!という銃を持っているウクライナ東部独立軍兵士を見たとすれば、この銃である可能性が高いです。
(文: ピョートル・石倉)
参考資料からの動画