『軍事のプロが見た ウクライナ戦争』(並木書房)
週プレ軍事班・小峯隆生編著
四六判316ページ/定価1980円(税込)
2022年2月24日、ロシアによる一方的なウクライナ侵攻が始まった。プーチン大統領は1週間もあればウクライナを制圧できると考えたが、戦いは膠着状態に陥り、ウクライナの反転攻勢以降、ロシア軍は守勢を強いられている。陸海空自衛隊元将官、米陸軍元大尉、元傭兵、国際政治アナリスト、軍事カメラマンらがチームを組んで、ウクライナの軍事情勢を徹底分析。本書を読めば現代戦の兵器・戦術・作戦がリアルにわかる。ネットで話題の軍事ニュースの初の書籍化!
週刊プレイボーイ(週プレ)軍事班は、ウクライナ戦争関連の記事を本誌およびウェブニュースで発表し続け、その数は60本以上に及びます。最初の記事は、開戦前の2022年1月31日、「NATO東進に対抗、プーチンを動かす〝猜疑心の地政学〟」として、侵攻のシナリオを独自に分析したものです。以後、軍事的視点から戦況に大きな影響を与える出来事をピックアップし、軍事専門家に取材しながら記事を発表し、いまも継続しています。
本書はこれまでの記事の中から43本を厳選し、新たな情報を追加し、関連年譜、地図、ウクライナ武器支援一覧などの資料を加えたものです。
小峯氏の質問に答えてくれる軍事の専門家は、陸戦であれば、陸上自衛隊で第40普通科連隊長、中央即応集団司令部幕僚長を歴任された二見龍氏(元陸将補)がコメントしてくれます。航空戦ならば、航空自衛隊で松島基地司令や第302飛行隊長などを務めた杉山政樹(元空将補)、海戦であれば、海上自衛隊で潜水艦はやしお艦長、第二潜水隊司令などを務め、現在金沢工業大学虎の門大学院教授の伊藤俊幸氏(元海将)が戦況を解説してくれます。
米軍兵器に関しては、元米陸軍情報将校で、第82空挺師団に所属、アフガニスタンでの実戦経験をもつ飯柴智亮氏(元米陸軍大尉)が分析してくれます。ほかにも元傭兵、元仏外人部隊日本人兵、国際ジャーナリストなど、それぞれの専門家が解説してくれます。
当初はドローンや対戦車ミサイル「ジャベリン」、スナイパーの戦いが注目を集め、米国の高機動ロケット砲システム「ハイマース」が供与されると戦いは新たな局面を迎えました。そして現代戦でも155ミリ榴弾砲など、重火器による砲撃が勝敗のカギを握っていることがわかります。本書を読めば現代戦がどういう戦いになるかリアルに知ることができます。
開戦から600日経過したウクライナ戦争は、ウクライナ軍の反転攻勢後、南部戦線でロシア軍の防衛線の一部を突破しつつあるという情報が日々流れています。一方でロシア軍の兵器・弾薬製造能力の増強も進んでいるとのことで長期戦は避けられないと思われます。
著者
小峯隆生(こみね・たかお)
1959年神戸市生まれ。2001年9月から週刊「プレイボーイ」の軍事班記者として活動。軍事技術、軍事史に精通し、各国特殊部隊の徹底的な研究をしている。日本映画監督協会会員。日本推理作家協会会員。元同志社大学嘱託講師、筑波大学非常勤講師。著書は『新軍事学入門』(飛鳥新社)、『蘇る翼 F-2B─津波被災からの復活』『永遠の翼F-4ファントム』『鷲の翼F-15戦闘機』『青の翼 ブルーインパルス』『赤い翼アグレッサー部隊(近刊)』(並木書房)ほか多数。