現在東部において内戦中のウクライナですが、新しい狙撃銃をなんと国産で生産し、2013年から既に軍に配備しているとのことです。
旧ソ連圏と言えばSVDドラグノフ、というイメージを払拭するような近代的なその銃は米軍のXM2010と全体的に似ており、PSG1の物に酷似したグリップがなかったら遠目にはどっちなのか判別できないかもしれません。開発時に米国の銃器会社とも協力した可能性もあり、かなりXM2010を意識して作っているのではないかと思われます。また、弾薬はソ連からの引継ぎではなくNATOの7.62mm弾と.338 ラプアマグナム弾が使用できるようです。NATO弾を発射する方がVPR-308、ラプアマグナム弾を発射するのがVPR-338と呼ばれています。
※外見上はほぼ区別がつきませんが、VPR-338のマガジンの方が明らかに大きいです。
VPR-308
VPR-338
発射音が大きいためかVPR- 338のほうには専用のサイレンサーもあることが画像で示されています。VPR-308の方が弾薬サイズも小さいので10発ボックスマガジンがあるようですが、基本は両方とも5発入りボックスマガジンのようです。ストックを展開した状態で長さがVPR-308、VPR-338ともに1230 ㎜、ストックを折りたたんだ状態で 1020 ㎜となっています。銃身長は650 ㎜となっています。重量がVPR-338の場合スコープなどを入れると10㎏と軽機関銃なみなので、三脚の上に載せて射撃している写真もインターネット上にあります。
射撃能力に関してですが、ヘッドショットが可能なのはVPR-308が500メートルまで、VPR-338の方で800メートル、ボディへの有効な射撃範囲はVPR-308で800メートル、VPR-338で1,100メートルのようです。
ボルトアクション方式なので射手のスキルにもよりますが、一分間に連続で発射できる最大回数はVPR-308で 20回、VPR-338で15回となっているようです。
銃身の耐用発射回数は10,000発となっています。
ボルト・レシーバーなどはウクライナ・マヤーク社の独自開発とのことですがどこまで本当かはわかりません。内部には防錆熱処理が施され、「最大の硬度」と「柔軟性」を兼ね備えているそうです。さらにウクライナ政府は輸出も大いに考えているようです。
ウクライナ東部での紛争地帯で装備しているウクライナ兵の画像などを見ると、オリーブドライブなどに塗装しているものもありますので、かなり実戦使用の中で用途に合わせてカスタマイズされていっていると考えられます。
しかし、前線では最近の写真でもみなSVDやシモノフ、さらにはモシンナガンなども使っているのを見ますのでウクライナ軍でも一部のエリート部隊にしか配備されていないとも言えます。
(文: ピョートル・石倉)
引用・参考資料:
http://sniper-weapon.ru/ukraina/152-snajperskaya-vintovka-vpr-308