独特な形状を持ったドイツ軍ヘルメット

image:ウィキメディア・コモンズ

第二次大戦を通じて、ドイツ軍のヘルメットほど有名なヘルメットはないのではないだろうか。各国がそれぞれの国のヘルメットを使用していたが、ドイツ軍のヘルメットは後の世界に大きな影響を与えたと言っても過言ではない。

ドイツ軍のヘルメットは第一次大戦でM16、18ヘルメットと開発され、更に戦後も使用され続けていた。後にヒトラーのドイツ再軍備によって、これらのヘルメットは大きな改修を受けることになったのである。そこで登場したのがM35ヘルメットである。    まずはデザインがより洗練されて、より耐破片能力が向上されている。

M35ヘルメットは1935年6月25日に採用され、生産が開始された。このデザインについて軍は下記のように述べている。

「このヘルメットは過去の戦争体験をふまえて破片や手榴弾の細かい破片から頭部を守るように設計されたのであり、重さと被り具合は砲撃に対する高度な抵抗力の結果である。」

更に、M35ヘルメットの生産工程を簡略化する為、両サイドの通気孔が別パーツであったのをヘルメットと一体化したのをM40ヘルメットと呼び、1940年3月26日から生産が開始された。材質も初期のタイプはクローム・モリブデン鋼を使用していたがマンガン・シリコン鋼に変更された。

また、1942年からヘルメットの縁を内側に折り曲げる工程が、簡略化の為に廃止された。このタイプのヘルメットをM42ヘルメットという。

これら初期のヘルメットの両脇には盾形のデカールが貼られていた。それは1934年4月5日に導入されたもので、右側面には赤、白、黒の国家色章を貼り、左側面にはシルバー・ホワイトの鷲が入ったナチス紋章を貼り付けた。

だが、後に敵の標的となるとの理由で国家色章は1940年3月21日に廃止された。更に、1943年8月28日にはナチス紋章も廃止されている。

また、ドイツ軍のヘルメットはドイツ軍の象徴ともなり、当時の陸軍エリート師団である「グロース・ドイチュランド師団」の師団マークに使用されている。

近年、アメリカ軍が開発したケプラー製のフリッツヘルメットと呼ばれるヘルメットには、ドイツ軍のヘルメットが参考にされているという。その理由として被弾経始の観点から言って、ドイツ軍のヘルメットが最も優れているためで、その長所を取り入れた結果、形状的にドイツ軍のヘルメットに似たのだという。

(藤原真)