レビュー: 金子一也
精度の高さと価格の安さを高次元で実現したバイオBB弾や、電動ガン専用として掛け値なしのハイスペックを誇るリポバッテリー等、全国のゲーマーやシューターに高い人気を博したオリジナル商品を開発しているBATONairsoftが、ついに電動ガン本体のリリースまでをも開始した。
中華エアーガンのチューニングに精通したGunsmithバトンが、BATONairsoftブランドで満を持して放つオリジナル電動ガン、M4CQB BLOWBACK。わずか1万6990円という驚きの低価格製品の、その外観と性能がいかなるものかを詳しく紹介して行こう。
言わずと知れた米軍正式採用銃であるM4カービンだが、入り組んだ構造の屋内や船内といった状況では、その長さが命取りになる場合も想定される。
主にそういった場所での作戦に従事する特殊部隊SEALsの要請により、狭所への突入戦闘時の操作性を向上すべく開発されたのが、M4CQBと呼ばれる10.3~11インチのバレルを持った全長の短いM4である。
バレルを短縮するだけなら簡単だろうと思われる向きもあろうが、弾丸の発射ガスを利用してボルトキャリアを稼動させるリュングマン方式の銃(M16シリーズ)においては、バレルが短くなると充分なガス圧が得られず、作動不良に直結してしまう。
プライマリーウェポンの作動不良は文字通り致命的な問題となるため、その開発は決して簡単なものではなかったはずだが、米海軍の研究によって完成したM4CQBは、2000年以降米軍の様々な特殊部隊で採用されている。
ちなみにCQBとは、Close Quarters Battle。すなわち近接戦闘を指す言葉で、屋内に突入し、一気に制圧する特殊作戦における戦いをそのまま言い表している名称で、プロのツールたる証と言ったモデル名なのだ。
BATONairsoft M4CQB BLOWBACK 電動ガン スペック & 弾速データ | |||||||||||||||||||||
|
|
赤と黒とのツートーンを基調に、BATONairsoftのロゴが鮮やに映える外箱は価格の低さを感じさせない雰囲気の良さで、ブランドイメージを高めることに成功している。
さらに特筆すべきは、この製品のために作り起こされた詳細な日本語の説明書が付属しているというところだ。
エアガンを扱う上でのマナーや注意点に始まり、基本的なメンテナンスやトラブルシューティングまでが徹底的に解説されているので、初めての電動ガンユーザーでもすぐに正しい使い方が理解出来ることだろう。
従来の輸入エアガンにはこうした説明書を備えた製品がほとんど無く、価格の安さだけで購入してしまったビギナーがまともに扱えないといったケースが散見されているが、この部分に抜かりなく配慮しているあたりは流石と言えよう。
外箱から取り出したM4CQBを手に取ってみると、まずはその軽さに驚かされる。2,150gという本体重量は、やはり樹脂フレーム製で軽量な東京マルイ製のM933コマンドと比べても約500gも軽いが、メカボをはじめとする内部の主要パーツには金属を多用しているため、このAirsoft通信の第1回にてレポートしたCOMBAT BOY M4A1シリーズの、ちょっと不安になってしまうほどの軽さとはイメージが異なっている。
重量の軽減にもっとも大きな役割を担っているアッパー&ロアーレシーバーは独特の質感を見せているが、これはreinforced plasticと呼ばれる強化樹脂で成型されているためで、通常のABS樹脂では得ることの出来ない軽さと強度の両立を果たしている。
ロアーフレーム左側面にプリントされたマークはこの製品オリジナルのもの。矢印を巧みに組み合わせることでドクロのイメージを浮かび上がらせている、なかなかに秀逸なデザインだ。
ボルトキャッチはダミーだが、その他主要な稼動部分はメタルパーツとなっている。表面仕上げが赤茶色に見えるのは、錆びではなくこういうフィニッシュで、スチールパーツに強い錆止め効果を与えている。
レシーバー右側面を見れば、明るいシルバーのボルトカバーがひときわ目を引く。チャージングハンドルを引くとこのカバーが20mmほど後退し、ホップ調整ダイヤルにアクセス出来るお馴染みの構造だ。もちろん、ダストカバーは実銃通り閉じることが可能で、チャージングハンドルの操作でパタンと開く構造もきちんと再現されている。
グリップはM4タイプのスタンダードな形状を踏襲しながら、後ろ側のラインが若干膨らんでいて、一般的なグリップよりも握りやすい印象を受ける。また、表面のダイヤパターンは鋭くエッジが立っており、グローブを着けた際の高い滑り止め効果が期待出来るだろう。
キャリングハンドルも強化樹脂製となっているが、付属のボルトで固定された状態の強度には何の不安も感じられない。リアサイトまわりは金属パーツで構成されており、当然のようにフルアジャスタブル機能を備えている。このM4CQBが初めての電動ガンになるというユーザーが光学サイトを持っているとは限らないため、標準装備のサイトがしっかりしていることは非常に重要なポイントだ。
そのキャリングハンドルを取り外せば、20mm幅のピカティニーレールが姿を現す。この部分もレシーバーと同じ強化樹脂製だが、マウントと合わせればかなりの重量になる各種光学サイトを搭載して銃を振り回してもぐらついたりすることは一切無く、素材の強度の高さを実感させてくれる。こうした部分では逆にヘビーユーザーの要求を満たしており、電動ガンのビギナーから上級者までをカバーする仕様となっている。
フロントまわりで最も目を引くのは、このM4CQBのためにデザインされた太めの樹脂製レールハンドガードだろう。一般的なRASやRISは、内蔵出来るバッテリーが極端に限られる上、後方配線ともなれば使用出来るストックにも制約が生じて来る。
低価格をきっかけにこの製品を選択するエントリーユーザーのことを考えれば、多少のディフォルメを取り入れてでもバッテリーの選択肢と交換の容易さを優先したこのコンセプトは正解と言えるだろう。ハンドガード内部はスペースが大きいだけに空間が目立つが、美しくメッキされたガスチューブもしっかり再現されており、見た目の雰囲気も大切にしているのが良く分かる。
また、ハンドガード中央を走るアウターバレルはアルミ削り出しで、レシーバーへの取り付け基部は直径24mmもの強化樹脂パーツでガッチリ固定されている。
ハンドガードを外し、アウターバレルを持ってぐいぐいと捻ってみても、樹脂なりのしなりは若干生じるものの、フロント周りがグラつくような不安は微塵も感じられない。むしろ適度なしなりがあることで衝撃を吸収する効果が期待出来るだろう。フィールドで地面に放り投げた程度ではビクともしないような印象さえ受けるほどだ。
M16の流れを汲む三角形のフロントサイトポストは強化樹脂製。いかにもエレベーションの調整が出来そうなフロントサイト本体は一体成型のモールドなので、無理にまわそうとして捻り切らない様注意が必要かもしれない。
ナイツタイプのフラッシュハイダーは金属製で、下部の小さいイモネジを緩めれば取り外すことが出来る。アウターバレル先端は14mm逆ネジ仕様となっているので、好みのハイダーやサイレンサーを装着して違った雰囲気を楽しむのも良いだろう。
左右に設けられた複数のリブが特徴的な強化樹脂製のバットストックは、FAB Defense社のGLR-16を模した物。右側面に固定されている短いレールマウントには、オプションのマガジンポーチやチークレストが取り付けられる。
幅広で深いモールドが施されたラバー製のストックパッドは滑り止め効果が非常に高く、移動しながらの射撃時に大きな威力を発揮することだろう。また、上側からストックパッドをめくると、CR123タイプのバッテリーを2本収納出来るスペースが隠されている。
ストック後端のスゥイベルも強化樹脂製だが、厚みが6mm程もある頑丈な造りで、2150gの本体重量を支えるには充分過ぎる強度と言えるだろう。
また、6ポジションの調整が可能なバッファーチューブは、ここは通常の電動ガン同様の金属製となっており、ストックを掴んで銃を振り回してもビクともしない剛性の高さを確保。伸ばしたストックをしっかりと肩に付け、思い切り引き付けて構えても、軋みやガタ付きといった造りの安っぽさはまったく感じられない。
軽量な強化樹脂パーツと、要所に使われた金属パーツとの効果的な組み合わせが、軽くて丈夫な電動ガンという矛盾を見事形にしているのだ。
軽量なレシーバーに内蔵されたメカボックスはVer.2準拠のベーシックなものだが、軸受けにはメタル軸受けが奢られ、スプリングのクイックリリース機能までもが標準装備されている贅沢な仕様。内部パーツも豊富な市販の社外製品と互換性があるので、上級者であれば好みのチューニングを自由に施す楽しみを満喫出来るだろう。
チャンバーもVer.2互換の設計だが、ホップパッキンはBATONairsoftが開発したソフト面ホップアップパッキンセットが採用されているため、特別なチューニングが施されていない通常の調整状態でも素直な弾道が期待出来る。
前述した通り、少し太めのレールハンドガードはバッテリーの選択肢を広げており、
BATONairsoft製のリポバッテリーであれば7.4v2200mAh(セパレート)という大容量バッテリーの他に、汎用性の高い7.4v2000mAh(ミニ互換)の収納が可能となっている。リポバッテリーはアンペア数が高いほどレスポンスが良くなる特製があるため、セミオートの切れはすこぶる良く、フルオートはハイサイクル気味の回転数になるのが嬉しいところだ。
当Airsoft通信で毎回実射テストに使用するトリガートークの40mシューティングレンジに持ち込んだ際にまず感じたことは、本体の軽さによるストレスの無さだろう。普段フルメタル製の中華電動ガンを扱っている身としては、この気軽に扱える感じは病みつきになる。
また、ピストンに連動して前後にガチャガチャと動くボルトカバーが、「銃を撃っている感覚」を味わわせてくれる上、銃本体が軽いため、同種のフルメタル電動ガンよりも射撃時の振動が強く感じられるところも魅力のひとつだ。
実射性能についても、前述のソフト面ホップアップパッキンセットが有効に働いているのであろう、実に素直でフラットな弾道で、40m先のマンターゲットであれば0.2gBB弾を効果的に送り込むことが出来る。また、バリエーションとして、ロングレンジで圧倒的に有利な流速チューン+ハイサイというチューニングモデル、『BATON airsoft M4CQB 流速HC』も2万9990円という驚きの価格で同時発売。その驚異の性能の詳細は、後日、Airsoft通信でお伝えしよう。
1万6990円という低価格にしてフルスペックを備えた、BATONairsoft初のオリジナル電動ガン、M4CQB。購入から3ヶ月以内の無償修理保証が付き、3ヶ月以降も工賃5000円+パーツ代でGunsmithバトンにて保証修理が受けられるという点も、エントリーユーザーの初めての1挺に最適と言えるだろう。さらに、BATON airsoft製品ならでは、amazonからのご購入なら日本全国送料無料で購入出来るというのも嬉しい限りだ。
Gunsmithバトンアキバ店にてサンプルの実射も可能なので、是非ともその軽さと実力を確かめていただきたい。