APS Airsoft 電動ガン M4 Patriot(ブローバック)
レビュー: 金子一也 (Gunsmithバトン アキバ店長)
愛国者の名を冠するM4ベリーショートカスタム
アメリカのRocky Mountain Armsが開発、販売している、Patriot Pistolは、M4系のレシーバーに、極端に短いバレルとハンドガードを装備し、バットストックを廃した、いわゆるベリーショートカスタムだ。なお、Patriotとは、「愛国者」という意味である。
先ごろ最新作が発売されたばかりの人気ゲーム、メタルギアソリッドの過去作品に、ドラムマガジンを装備したPatriot Pistolが登場していることもあり、ガンマニア以外にも認知度の高いカスタムM4(ゲーム中ではAR-15ベース)と言えるだろう。
今回レポートをお届けするAPS aisoft社製のM4 Patriot(ブローバック)は、上述のPatriot Pistolをモチーフとして開発された、同社のロングセラー製品だが、ロットを重ねる中で改良を加え続けて熟成された、完成度の高い電動ガンとなっている。その内容を、以下に詳しくご紹介して行こう。
APS airsoft M4 Patriot(ブローバック) 電動ガン スペック & 弾速データ | |||||||||||||||||||||
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わずか3.3インチのレールハンドガード
まずはフロントまわりから細かく見てみよう。ナイツアーマメント社のURX2 RASを模した、ハンドガードは、約3.3インチというショートサイズ。上下左右の4面に備えられたレールマウントも、わずか7コマと短いが、バーティカルグリップやタクティカルライトを装着するには充分なサイズだろう。
上面のRASには、APS社オリジナルの樹脂製フリップアップサイトが取り付けられているが、このサイトについては後に詳述しよう。
ハンドガード先端から突き出した、外径40mmのアルミ削り出しによる円筒状パーツはバレルジャケットで、サプレッサーのような消音効果は持たされておらず、その先端を覗くと、銃口部ギリギリまで伸びたインナーバレルが確認出来る。マズル周囲に開けられた6個の穴にも特に機能はないが、雰囲気を盛り上げてくれる小粋な演出だ。
このバレルジャケットは、アッパーレシーバーにマウントされたアウターバレルの先端に逆ネジでしっかり固定されており、ガタつき等は一切見受けられない。
見慣れたM4のイメージからすると、極端に短く感じるこれらフロントまわりだが、気になる弾道の直進性や命中精度については、後半の実射テストにて検証してみよう。
M4 Patriotに最適な2WAYサイトを搭載
上述したハンドガード先端と、アッパーレシーバーの上部にに搭載された樹脂製の前後サイトは、APS社が独自開発した、Rhino Flip-Up Tactical Back-Up Rifle Sightと呼ばれるフリップアップサイト。 Rhino(ライノー=犀)と名付けられたこのオリジナルサイトは、当Arisoft通信にて以前レポートをお届けした、同社製M4 Guardian Tactical&Combatにも搭載されていたが、バットストックを持たず、ハンドガンのように運用することも可能なこのM4 Patriotに使ってこそ、そのコンセプトの真価が発揮される。
上2枚の画像でおわかりいただけるように、折りたたんだ状態のフロントサイト上面には、ハンドガンのフロントサイトのような突起が、リアサイトの基部には同じくハンドガンのリアサイトのようなノッチがそれぞれ設けられている。これらのサイトは、通常のライフルのように頬付けしてのサイティングでは、照準線が低すぎて狙いをつけることが出来ないが、グリップを握った手を前方に突き出し、まさにハンドガンのように構えた際にターゲットを瞬間的にポイント出来るのだ。
また、サイト上にモールドされたAPS社のマーク部分を押し込むことで自動的に立ち上がる前後のフリップアップサイトを使えば、中距離以上での精密射撃ももちろん可能。さらにそのリアサイトは、中、長距離用の切り替え式ピープサイトを備えた本格派だ。バットストックの無いM4 Patriotで頬付け射撃を行うには若干の慣れが必要だが、ライフル射撃の経験者であれば、ちょっとしたコツをつかむことで、難なくこなせるだろう。
質実剛健な作りのレシーバーまわり
M4 PatriotはAPS社のM4カスタムバリエーションであるため、レシーバーまわりは同社の従来製品と共通のものが採用されている。
エジェクションポートから覗く、シルバーメッキ仕上げのダミーボルト(リコイルプレート)は、チャージングハンドルを引くことで後退し、オーソドックスな作りのホップ調整ダイヤルにアクセス出来る。この際、ロアレシーバー左側面のボルトリリースレバーを引き起こしながらチャージングハンドルを引くことで、ボルトカバーが後退位置でロックされるのは、同社製M4バリエーションに共通のギミックだ。
トリガーガードはハンドガード同様、ナイツアーマメント社のコンバットトリガーガードを模した形状の物が採用されている。直線的な形状のノーマルトリガーガードに比べ、グローブを着けた状態での操作性に優れたデザインは、手袋が必須なサバゲーにおいても、使いやすさを充分実感出来るだろう。
モーターを内蔵したグリップはタンゴダウンタイプを装備。薄く、細身に作られ、レシーバーに対する角度も適切であるため、抜群に握りやすい。細かいシボ加工が施された表面は、素手でも、グローブを装着した状態でも、適度な滑り止め効果を発揮してくれる。
マガジンはM4タイプにおいて一般的な、300連の多弾式だが、最新ロットの製品には、MAGPULのP-MAGをイメージしたと思われる、滑り止め用の凹凸モールドが施された樹脂製マガジンが付属している。いわゆるスタンダード電動M4シリーズに使えるマガジンであれば、ほとんどの製品との互換が可能なのは、他のAPS社製M4シリーズと共通の仕様だ。
ロアレシーバー後端、バッファーチューブの付け根部分には、3ホールタイプのスリングスイベルプレートが挟み込まれている。プレス加工によって作られたスチール製のプレートは抜群の強度を誇り、また、右利き、左利きに応じてスリングの取り付け位置を変えられるデザインは、サバゲでの使い勝手に優れている。銃そのものの全長が515mmと短いので、ワンポイントスリングを取り付けて使用するのがベターだろう。
バッファーチューブにあたる部分は、通常のそれよりも太めに作られているが、これは後端にフタが設けられたバッテリースペースとなっており、内部には、バッテリーコネクターとヒューズケースが繋がった配線が収められている。バレルジャケットと統一感を持たされたデザインのチューブは、長さが約142mm、内径が約50mmというサイズで、BATON airsoft電動ガン用リポバッテリーであれば、7.4v2000mAh[30C](ミニ互換)、または、Eライン7.4v2000mAh[30C]ミニタイプと、大容量のものが収納可能だ。
バッテリーの容量が大きいということは、一度の充電で発射出来る弾数の多さに直結するので、それこそメタルギアソリッド劇中のように、ICS製の電動Cマグ(M4アダプター付属)等いったドラムマガジンを装着して、バリバリ撃ちまくるのも良いのではないだろうか。
高い互換性を誇る安定したクオリティのオリジナルメカボックス
このM4 Patriotには、APS社で言うところのハイブリッドギヤボックスと呼ばれるメカボックスが搭載されている。これは、以前ご紹介した同社製のM4 Guardian Tactical&Combatに採用されているものと同じで、東京マルイ製Ver.2メカボックスと、ほとんどの内部パーツが互換性を持たされた設計になっており、豊富なアフターパーツを使ったチューンナップを楽しむことも可能だ。しかし、磨耗に強い7mmメタル軸受けに加え、ベアリング付きのピストンヘッドとスプリングガイドを標準装備しているため、適切な調整さえ施せば、何らカスタムの必要が無い安定した動作を見せてくれる。しかも、メカボックスを開かずにスプリングを交換出来るクイックリリース機能までをも搭載するという、実に贅沢な仕様のメカボックスなのだ。
また、チャンバーは金属製で、一般的なスタンダードM4に準じたダイヤル式ホップ調整機構を採用したもの。インナーバレルは、ステンレス製で、183mmの長さが確保されており、内径も6.04mmとタイトに作られている。
フルサイズライフルに匹敵する実射性能
今回も、当Airsoft通信でテストでお馴染み、埼玉県のインドアフィールド、トリガートーク内の40mインドアシューティングレンジに、Gunsmithバトンのチューナーによって調整が施されたAPS製M4 Patriotを持込み、実射性能のチェックを行ってみた。
バットストックが無いため、どのように構えたものか悩んでしまいそうだが、通常のM4を構えた際の、リアサイトと眼球表面との距離を保った位置で、バッファーチューブ(バッテリーケース)に頬付けする。つまり、肩ではなく、頬で銃を支えるイメージで構えることで、特に違和感無く40m先の等身大マンターゲットを狙うことが出来る。
フロントが短く、軽いため、サポートハンドをマガジンハウジング前部に添える構え方で、充分安定した射撃姿勢がとれるし、複数のターゲットに次々狙いをつける際にも、素早く動けることだろう。
また、マガジンハウジングを掴んだ左手を前方に突き出して構えれば、上述したハンドガン様の前後サイトがその威力を発揮し、スピードシューティングさながらの正確な連射を可能としてくれる。交戦距離によってサイトを使い分けることは、このM4 Patriotで戦うにあたっての重要な戦術となるはずだ。
フィールドでの使い勝手をイメージ出来たところで、バッテリーを繋いだ実射性能を確認してみよう。付属の樹脂製多弾マガジンに300発の0.2gBB弾を装填し、まずはセミオートでの性能を確認する。
セレクターレバーを時計回りに90度動かし、トリガーを引き絞る。バシッ! という鋭い金属音と、ボルトカバーが前後する際の軽いショックをともなって発射されたBB弾は、40m先の距離を素直に飛んで行き、マンターゲットの中央部にヒットした。続けざまに発射しても、その弾道に大きな乱れは見られない。
次にフルオートモードで、3秒ほどトリガーを引き続けてみる。白い軌跡を描いて飛ぶBB弾は、マンターゲットの少し手前あたりでやや広がりを見せたが、ターゲットを外れる弾は1発もなく、そのコンパクトサイズからは信じ難い、充分な遠射性能と命中率を見せ付けてくれた。これはもちろん、Gunsmithバトンによる入念な調整&チューニングがあったればこその結果で、いわゆる箱出し状態では、ここまでの性能を望むことは難しいだろう。
なお、今回のテストに使用したBATON airsoft電動ガン用リポバッテリー 7.4v2000mAh[30C](ミニ互換)でのフルオート時の発射サイクルは、秒間13発程度だった。
最前線を駆け巡るアタッカーに最適なコンパクトウェポン
M4系アサルトライフルのインターフェイスをそのままに、サブマシンガン並みのコンパクトサイズに仕立てられた、APS製M4 Patriot。Gunsmithバトンによって調整&チューニングされた高い実射性能と、フルメタル製のボディによる剛性の高さは、最前線のハードな戦いおいて、最高の相棒となってくれるに違いない。
ちなみに、バッファーチューブ(バッテリーケース)を分解して取り外すと、一般的なスタンダードM4のアッパーレシーバー後端と同様の接続部分が現れるので、ストック付きのM4ベリーショートモデルを組み上げてみるというのも良いだろう。
Gunsmithバトンの本店とアキバ店には、試射も可能な調整済みサンプルが用意されているので、その性能を是非ともその目でお確かめいただきたい。
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