トレポンを試す!! SYSTEMA プロフェッショナル トレーニング ウエポン
「隊長! トレポン買っちゃいました〜。撃ってみます!?」
ヤネックスのシューティングレンジでチームメイトが嬉しそうに微笑みながら試射を勧めてくる。
「え? ああ...うん、ま、あとでね...」
プロフェッショナル・トレーニングウエポン(PTW)、略してトレポン。
日本の企業、システマ社が開発したトレーニング用の電動ガンだ。
トレーニング用というのは主に米国市場において警察や軍隊向けの訓練用ツールを目的として開発されたのでその名が付けられた。
と書くとなんだか大仰ではあるが、日本市場でも販売しており、もちろん国内用は威力も日本の銃刀法に適合している玩具銃だ。
日本市場では2004年から販売が開始されていて、近年ユーザーが拡大しているという。
で、冒頭の試射の話に戻るが、「あとで」としたのは正直言ってトレポンには良いイメージがないから。
過去にもトレポンの試射を幾度か勧められたことがある。
しかしその度に弾がまともに飛んだ事がない。弾道が鬼ホップだったり、チャンバーに弾が詰まっていて昨晩いじっちゃったからちょっと今日は調子が悪いのかなぁとか。なぜこの状態で試射なんか勧めるんだよと...。
そんなもんだから外観はリアルだけど値段が高くてサバゲーでは使い物にならないお飾り用の床の間ウエポンでしょ、くらいの印象だった。
しかし、そのチームメイトは喜々として試射を勧めてくる。
「しょうがないなぁ...」 根負けして2丁あるうちの一丁を撃ってみた。
「ん? あれ? なにこれ?」
「でしょう?」 チームメイトはニヤニヤしている。
セミオートで撃った弾道は搭載されたエルカンスコープのレティクル中心に撃ち出されてそのまま真っ直ぐ40m付近までフラットに飛び、50m手前で左右にブレることなくドロップした。
セレクターをフルに切り替えて撃つ。
するとBB弾が等間隔で数珠つなぎに撃ち出され、セミで撃ったときと全く同じ弾道を描き全弾が50m先のマンターゲット下半身に着弾。
予想外の展開に「どんだけ金掛けてフルチューンしてんのよ?」ヤバイ、焦って思わず口がすべった。
しかしチームメイトは冷静に答える。
「いえいえ中身はノーマルですよ♪」
これが今から約2ヶ月前の出来事。
そして今、私の手元にはトレポンのCQBRがある。 かかかか、買ってしまったのだ! トレポンを。ついに! というけで今回はトレポンのレビュー。
SYSTEMA 電動ガン PTW CQBR スペック & 弾速データ | |||||||||||||||||||||||
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トレポンの買い方?
試射の翌週。私はチームメイトに連れられて東京都墨田区にあるMOVEというガンショップにいた。
もちろんチームメイトがトレポンを買ったショップ。
MOVEはJR錦糸町の北口から少し歩いたところにある。
ここでトレポンに関する取材をさせて頂くことに。そう最初は取材目的で買うつもりなんて無かった。
なにしろ話ではトレポンは1丁20万以上もする高価なものだっていうしなぁ。
MOVE店内はイイ感じの雰囲気。
壁にはドレスアップされたHK416CやMP5SDなどが飾られている。これらもトレポン。
MOVE代表の島岡さん。トレポンについていろいろ伺った。その丁寧な説明を聞いているうちになんだか物欲がこう、ムクムクと、こ、こらえろ、と理性が働くもお話し半ばにして「1丁お願いします!!」あー、言っちゃった...。
そして話は注文内容の詳細に移る。店内のカウンターに座って商談開始。まるでディーラーで車を購入するときのようにドキドキする。
トレポンは数多くのバリエーションがあり、まずはその概要を説明する。
MOVEで扱うトレポンはM4A1カービン(14.5"バレル)系、CQBR(10.3"バレル)系、M16A2/A3系、MP5系の4種。
今回購入したのはショートバレル、10.3インチのCQBRで、プロフェッショナル・チャレンジキットと呼ばれる組み立てキットを勧められた。このキットをMOVEで組み上げてくれるという。
メーカーで組み立てられる完成品のロアレシーバーにはメーカー管理のシリアル番号と、システマ独自の不死鳥の刻印があるがキットは無刻印。
このロアレシーバーに好みの刻印を彫刻してもらえるというわけだ。※写真はM4-A1のキット。
キットのパッケージにはUltimateとあるがこれは最新バージョンのキットで、新型モーター、ステンレス製シリンダーケース、新型インナーバレル、MAGPULのMBUSリアサイトとMOEトリガーガードが構成されたもの。
CQBRのキットにはMAXII、スーパーMAXIIという2種があり、スーパーMAXIIは海外仕様などの高レートスプリング用のハイトルク型ギア仕様でレスポンスがやや落ちる。ということでベーシックなMAXIIをお勧めされた。
これはM4A1カービンでも同様。
上記以外にバリューキット1~3というものがあり、これらは通常のキットからハンドガードなどの交換しやすい構成パーツを徐々に減らしたキットになる。バリューキット3ではモーターとギアBOX、CPU基盤しかないという。
2丁目以降など、最初から大がかりなカスタムを前提とする場合、バリューキットを選択するユーザーもいるのだそう。
今回の購入では、まずキット代金の127,473円を前金で支払った。
このキットを組み立ててから受け取り時に工賃やカスタムパーツ分の料金を支払うという流れ。
今回のケースではコルトディフェンス刻印+セレクター刻印が20,500円、ダミーボルトカバー加工が4,320円、DPMS製デルタリングASSY 6,900円、実物ポートカバー5,800円、11.1Vのバッテリーが2本で8,090円、純正の120連マガジンが2本で9,396円、組立工賃が15,400円、予備マグ1本と、レシーバーのKGコート塗装仕上げは通常12,960円のところがキャンペーン期間中でサービスとなった。
締めて約198,000円!!
なお、ハンドガードは樹脂製のものがキットに含まれるが、手持ちのナイツのRASがあったので持ち込みで組んでもらうことにした。
デルタリングはRASを固定するのに内径が合う実物のほうが良いと勧められたのと、ポートカバーは開いた状態で組んでもらうのでノーマルカバーの裏側はペッタンコのため。
上記の内容で注文確定。納期を聞くと3ヶ月後だという。うわー、先が長い。
ただし現在では店舗営業時間の変更とスタッフ増員により、約1ヶ月程度の納期に短縮されたそうだ。
で、ついに待ちに待った納品の電話連絡が来て店舗に取に伺うと店内のシューティングレンジに呼ばれ、納品の儀式が始まる。
納品されたCQBRを目の前にご使用上の注意点と書かれた説明書の項目をひとつひとつ丁寧に説明してくれる。
バッテリーの入れ方、マガジンへの弾の入れ方、通常分解などの方法など。
そして実際に試射して納品完了。
そしてこれが納品されたトレポンCQBR。ノーマルと違うのはハンドガードをRASにしてバーティカルフォアグリップを装着、AimpointのCOMP ML2ドットサイトを搭載しているのみ。
内部のユニットはすべてノーマル状態。
レシーバーはアルミダイキャスト製でリアル形状。サイズも実銃を正確にトレースしている。
ボルトキャリア部分にはマルイのものを加工したダミーのボルトキャリアが装着されている。このボルト部分は固定されていて動かない完全なダミー。
両側から操作できるアンビのセレクターを標準装備。内部でギアを介して左右がコネクトされている。
セレクター操作も重みのあるノッチ感で実銃の感触に近い。
右レバーをキャップタイプに変更することもできる。もちろんその場合でもセレクターを操作すればキャップのインジケーターも可動する。
マガジンキャッチもボタンネジ止めタイプのマルイ製とは異なり、リアルな構造になっている。
刻印は彫刻機で彫られたコルトディフェンス刻印。オーダー次第であらゆる刻印に対応してくれる。ビーズブラストで下地処理してからKGコートで塗装されているので手触りもさらりとしていて良い。
ロアレシーバーの厚みもマルイの電動ガンより薄くなっており、この部分においてもリアル形状と言え、見た目も引き締まって見える。
セレクターはSEMI、AUTOポジションで待機電流が流れ、SAFEにすると電源がオフになる。
ダミーながら別パーツで構成されたピン類(トリガー、ハンマー、フルオートシアピン)などもリアルに再現している。
トレポンを持った際にまず圧倒的なリアルさを感じるのがこのグリップ。マルイの電動ガンよりかなり薄くできており、まるで実銃を持ったかのような印象。握っただけで只ならぬ緊張感が伝わってくる。
またトリガープルが軽くトリガーストロークもマルイの電動ガンに比べかなり短くなっており、電子制御トリガーと相まってセミオート射撃時のレスポンスが非常に良い。
このグリップ内に内蔵されるのがKUMI-7511型モーター。薄型のモーターでありながら強力なトルクを発生させる。
モーター本体はケースに収まっており、レシーバー側に固定されるのでグリップ底部からの位置調整は不要。
ただこのモーター、磁力が相当強いので腕時計などを近づけるのは避けたほうが良いだろう。
ストックはブッシュマスタータイプのテレスコピックストック。
アルミ製のリコイルバッファチューブは5ポジション。直径は実測で29.16mmとほぼミルスペック準拠。ただし純正ストックとの組み合わせではかなりガタつく。
コルト製のミリタリーストックに交換するとガタつきはかなり解消される。MAGPULのCTRストックでも同様にタイトになる。ただし、これらミリタリーストックは6ポジション前提なので、伸縮最短時の長さが合わず4ポジションでの運用となる。
このリコイルバッファチューブ内にバッテリーを収納する。使用するのはOPTION No.1製の3セル11.1V 900mAhのリポバッテリー(配線の長さを調整済み)。このブランドが一番MAXIIとの相性が良いとのこと。
装着にはチューブ末端のキャップ部分を引っ張って時計方向に回してオープンする。キャップを閉める時も引っ張って時計方向に回す。逆方向に回すとキャップを固定しているネジが外れることがあるとのことでトレポンお作法の一つ。
コネクター形状はT字型のミニ2Pコネクター。T字タイプでも大小サイズがあるが、これは小さいミニサイズ。充電用に変換コネクターを別途購入した。
ヒューズはバッファチューブ根元くらいにある。
アウターバレル、フロントサイトポスト、バードケージのA2フラッシュハイダーはスチール製。ハイダーの質感も美しい。ハイダーを取り外すとM14正ネジ仕様となっている。
リアサイトはMAGPUL MBUSが標準装備。
アッパーレシーバーのトップレールにはレールガイドナンバーは刻印されていないので別途レーザー刻印を施すユーザーもいる。またチャージングハンドルもリアルサイズだが、1cm程しか引くことはできない。
リコイルバッファチューブのリングとレシーバーエンドもスチール製で構えた時に鼻先にふわっと黒染めされた鉄の匂いが漂う。これが何とも言えない実銃を構えた際の緊張感を思い出させるのだ。
この匂いの話を島岡さんに話したら「そんなの初めて聞いたよ」と軽くあしらわれた...。
トリガーガードはMAGPULのMOE。樹脂製。
このトリガーガード幅もリアルサイズなので互換パーツに交換するユーザーは多い。ただし取り付けにはピン穴位置などの関係で、加工・調整が必要な個体もある。
可変ホップアップはマガジンハウジングから中を覗き、チャンバー前にある小さな6角ネジで調整する。
トレポンはマガジンの最終弾を撃ち終えると自動的にユニットを停止させるオートストップ機構を備える。機構はマルイの次世代電動ガンと同じ。マガジンフォロアーがマガジン上部のリンクレバーを押し上げ、マガジンハウジング内から見える停止レバーを押して作動停止となる。
マガジンチェンジ後にレシーバー左側のボルトキャッチボタンを押して解除、再び射撃可能となる。
ボルトキャッチの感触は次世代電動ガン同様に軽い。これを確実な操作感にするためにマグネットを組み込んで反発力でクリック感を出すというチューンもある。
このような真鍮製のホップ調整用レンチが付属している。ネジを締め込めばスクリューがホップパッキンを押し上げてホップが弱まり、逆にネジを抜く方向に回せばホップパッキンが降りてきてホップが強くなる。
これがホップアップパッキン。
インナーバレル下側に収まっている2本のクッションチューブのテンションで保持されている。
上側の半透明のホップパッキンも横置きのチューブ形状。
トレポンの特徴であるテイクダウン機構。実銃のM4と同じくトレポンはテイクダウンピンを抜くことで上下のレシーバーを簡単にテイクダウンできる。ロアレシーバー側にはとてもコンパクトなギアボックスが内蔵されている。露出しているギアはピストンを引くセクターギアとサンギアで、その前の部分にCPU基盤回路があり、ギアの回転検出、モーターの電磁ブレーキ、FETによる電流制御などを行っている。
ギアの矢印の部分に小さい穴があり、これでセクターギアの停止位置を検知している。
セクターの歯がピストンに噛みあう直前で必ず停止しているのがわかる。
これがトレポンM4&CQBR系のギアボックス。この中にモーター軸を受けるべベルギアがあり、それがサンギアを介してセクターギア内に配置されたプラネタリギアを回し、セクターギアに駆動力を伝達する。サンギア歯には溝が斜めに入ったヘリカルギアを採用する。
トレポンの電動ユニットはとにかくコンパクトにできており、マルイの電動ガンでいうところのタペットプレートもない。ピストン後退時にノズルを引き、BB弾をチャンバーに送るための一定量を引いたらノズルがピストンから離れて前進を始める仕組み。
テイクダウン後はアッパーレシーバー内に収まっているシリンダーアッシー、チャージングハンドル、チャンバーとインナーバレルを引き出すことができる。バレル清掃などのメンテナンスに便利。
アッパーレシーバーのコネクト部分もリアルな形状なのでマルイの電動ガンよりも剛性は高い。まるでガスブロのようなリアルさを備えている。
なお、アッパーの外観形状はリアルサイズだが内部の形状はシリンダーアッシーが収まるため実銃とは異なっている。
純正マガジンの装弾数は120発。オーソドックスなSTANAGマガジン形状で、スチールプレス製のアウターシェル。ボトムにはSYSTEMA、MADE IN JAPANの刻印。実物のアルミプレスアウターを利用したカスタムマガジンや、P-MAGタイプもMOVEでは取り扱っている。
なお、MOVEでは東京マルイ製のベアリングバイオBB弾0.25gでの利用を推奨している。
マガジンへの装填は専用のBBローダーを使用する。M4の場合ローダーのパイプ一杯に詰めて60発、これを2回繰り返してロードするが、120発目いっぱい詰め込むと最初の数発が鬼ホップになるというケースもあるので数発ほど少なめにロードしておくのが良いそうだ。このローディングが慣れないと面倒くさく、2回目のロードでBB弾をブシャーっと吐き出してしまうというミスもある。
MOVEの説明によると市販のBBローダーやクイッくんなどはフォロアースプリングを痛めるので使わないようにとのこと。
トレポンのマガジンはフォロアーが固定されておらず、ただ差し込まれているだけ。通常はマガジンリップに挟まって抜けないのだが、撃ち終えてマガジンを抜いた直後や、残弾処理しようとしてリップを指で開いてジャッとやった瞬間に飛び出してしまうことがある。
ゲーム中や夜間にフォロアーを落としてしまうとまず見つからないので注意が必要。このフォロアーは1個200円程度でスペアパーツが購入できる。慣れるとマガジンを抜いた瞬間に指でフォロアーを押し込む動作が身に付くらしい。
なぜこのような設計になっているのか不思議だが、不便なのでシステマにはぜひ改善してもらいたい部分。
トレポンは常にノズルが前進した状態でユニットが停止するので残弾のあるマガジンを抜いても1発だけぽろっと弾がこぼれてチャンバーには弾残りしない仕組み。もちろん最後の一発まで撃ちきれる。
マガジン含む実測重量は3,175g。
バッテリーは含まず。
RASを付けているせいもあり、数字だけ見るとそこそこの重量だが、実際に使ってみると重量バランスが良く剛性が高いので思ったほど重く感じず取り回しできる。この重量バランスも実銃の前後配分に近い。
マガジン1本は324g、リポバッテリーは68g。光学機器などを搭載すると3.6kg程になる。
こちらはHK416C。トレポンの中身を使用してVFCのガスブロパーツを流用したカスタムガン。バッテリーはフロント配線でハンドガードに取り付けられたPEQ15に入っている。
このHK416C、撃ってみるとどう言うワケか心地よい撃ち味が楽しめる。詳しくは店頭で確認してみよう。
トレポンはMP5もラインアップする。ノーマルのレシーバーはダイキャスト製なので、VFCのガスブロに換装したもの。グリップフレームは純正。肉薄のスチールプレスレシーバーがリアルな雰囲気。もちろん3点バーストも電子制御されしっかり機能する。MP5のマガジン装弾数は40発と少なめ。
サイレンサーも消音材を入れたり、トレーサーを組み込んだりとMOVEでは希望に応じたカスタムに対応してくれるそうだ。気分はネイビーシールズのチャーリーシーン、って古いなぁ...。
MP5もテイクダウン可能。バッテリーはレシーバー後部からセットする。
MP5のギアボックスはプラネタリウムギアは使用されておらず、べベル、スパー、セクターギアで構成される。駆動音もマルイのメカボックスに近い感じ。
セクターギアの停止位置が常に一定なのはM4と同じ。
MOVEでトレポンを購入するとオリジナルのワッペンがもらえる。
2丁目以降の購入者は別デザインのワッペンを5つのカラーの中から選べる。
MOVEの定例会でもつけているユーザーは多かった。
さて、これまで紹介した3丁のトレポンをヤネックスのシューティングレンジで撃ってみて弾道性能をチェックした。また参考までに東京マルイの次世代電動ガンHK416Dも同条件で撃ち比べてみた。
まずはその動画をどうぞ。なお、使用するBB弾は初速測定時は東京マルイベアリングバイオの0.2g、弾道テスト時は0.25gを使用している。
屋外のシューティングレンジなので若干風の影響を受けていて射撃の腕前もそれほど上手くはないのだが、その弾道性能の素晴らしさがわかるだろう。東京マルイの次世代電動と比べても同等かそれ以上のまとまりを見せている。とくにフルオート射撃での集弾性においてその差は顕著に表れている。
この弾道性能の良さの理由は、
1.初速の安定度
初速が非常に安定しているということ。測定映像を見てもわかるが、上下差が0.5m/sに収まっている。
これはスプリングの安定度もさることながら、ノズル&チャンバーの気密性、セクターギアの停止位置の一定度などが総合的に影響しているといってよいだろう。
2.インナーバレル内の段付き形状
トレポンのインナーバレルは先端から1cm程の内部に段付き加工が施されている。これが弾道に良い影響を及ぼしていると言われている。
真鍮製のインナーバレル長はCQBRで約264mm、内径は6.04mm。
3.剛性とチャンバー保持
トレポン特有の剛性の高さ、チャンバーとインナーバレルの安定保持、高精度なシリンダーアッシーとノズルの固定などなど、とにかく内部のユニットが限られたスペースにカッチリと配置・固定されている。これにより高精度なBB弾の撃ち出しを実現している。
上記の理由からトレポンは非常に弾道性能が優れている。実際にサバゲーで使用してみたが、ピンポイントで狙うことができるのには驚いた。30m程度の通常交戦距離でバリケから露出している敵の手足だけを狙ったり、隙間から覗いている頭部を狙い撃つことが楽々可能になるのだ。
これほどまでに高性能なトレポンではあるが、この高性能を引き出すには組み立て時のノウハウが必要ということだ。確かにこれほどまでに高性能であれば内部チューンを施す必要もない。システマが設定したメーカー純正の構成パーツでここまでの性能を引き出せるとは。トレポンのポテンシャルには驚きだ。
先日、MOVEの定例ゲームに参加してきた。参加するメンバーはほとんどがMOVEで購入したトレポンを使用している。写真はゲームを回してくれたMOVEスタッフの岩井さん。
自分がトレポンを使うだけではなく、相手もトレポンを使用してのトレポンだらけのゲーム。ゲームのノリ自体は非常にゆるいのだが、飛んでくる弾は異常に正確。
バリケに隠れているのがバレると正確無比に狙い撃たれてしまう。フルオートは使用せずに、多くのプレーヤーがセミオートでの射撃。しかもそのセミオートの切れが良いのでスタタタタンっ!と恐ろしいほどに連射が早い。
人数が30名程度と少人数だったのと、ベテランプレーヤーが多いこともあるが、とにかくいつもの定例会とは格段に緊張感が違う。恐るべしトレポン。
この日マガジン4本を携帯していたが、ほとんどのゲームでマガジン1本から2本しか使わない。
1日トレポンでサバゲーをして消費した弾数は数百発。いつものゲームより格段に少なくて済んだ。
この日のMOVE定例会では多くのプレーヤーが自慢のカスタムされたトレポンをテーブルの上に並べていた。MOVEではトレポンの貸し出しも行っているので試しに参加してみるのもよいだろう。
VFCのガスブロ外装でカスタムされたMP5K PDW。コンパクトでカッコいいなぁ。
A2固定ストックを装着したトレポンも多かった。また命中精度が高いのでスコープを装着しているプレーヤーも多い。
カービンも様々なカスタムが施されている。タンゴダウングリップやMOEグリップに換装したり、ストックやレールハンドガードも様々。
KGコートやセラコート™でレシーバーを好みの色に塗装するカスタムも多い。
これはBCM刻印のレシーバー、FORTISのレールにP-MAGとMFTのBATTLELINK Minimalist Stockとかオシャレ。
トレポンは高価なので安全上の点からペリカンケースなどを使用するユーザーが多い。
あえて樹脂製のハンドガードを装着したり、カーボンハンドガードなどで軽量化するユーザーもいる。
またアッパーレシーバー一式だけを複数作って、好みで簡単にレシーバーチェンジできるのもトレポンの楽しいところ。
固定キャリングハンドルのレシーバーでアブダビカービンにしたり、ナム戦仕様のXMやA1にするカスタムパーツも販売されている。
メーカー組み立ての完成品に入る不死鳥の刻印。
いまでもそうだが、システマはかつて東京マルイの電動ガンのカスタムギアなどの内部パーツを製造していた企業。そのシステマが独自のノウハウで電動ガンをマルイとは違う方向に進化させたものがトレポンであり、トレポンは今なお改良され、進化し続けている。
さて、トレポンレビューをまとめると、比類なき剛性感とリアルな重量バランス、リアルな質感と外観形状に、超高性能な弾道性能。オートストップ機能などサバゲーで使用するウエポンとしては最高峰と言える。
販売店は限られるが今回オーダーしたMOVEでは様々な要望に合わせたカスタムをしてもらえるし、定期的なメンテナンスにも対応してくれる。
気になる点としてはマガジンの給弾が面倒なのとフォロアーの問題、あとはストックチューブが5ポジションなところか。6ポジションならば最高なのだが、これも社外パーツが出てるみたいなのでいつか交換してみたい。チャージングハンドルを引けなかったり、ブローバック&リコイル発生機能が無いがゲーム目的としては個人的にはデメリットとは思わない。
価格は次世代電動ガンの約4倍で、オーダーしてから納品までに時間もかかるが、所有感は抜群にあり、高精度な光学照準器なども搭載したくなる。
アクションのリアルさを求めるならばガスブロという線もあるが、この性能が一年中安定して使用できるならばある意味トレポンは究極のサバゲーウエポンと言えるだろう。
もちろんセミオートの切れの良さからスピードシューティングにもバリバリ使える。先日M.E.T.ユニオンで開催されたCQBフレンドリーマッチの優勝チームもMOVE製のトレポンを使用していた。
多くの敵にフルオートで襲われてもローン・サバイバーやCAT SHIT ONEの主人公たちのようにセミオート射撃を駆使して窮地を切り抜けられる、トレポンはそんな気分にさせてくれる電動ガンだ。誰もが気軽に購入できるという商品ではないが、この性能は圧倒的。一度使ってみればその良さがわかるはず。プレースタイルが大きく変わるはずだ。
というかみんながトレポンを使い始めると心配なことがある。
サバゲーで敵チームにトレポンユーザーがいるとかなり手強くなる。なので強くおススメはしたくないという気持ちもあったりして(^_^;。
そうそう今回トレポンを購入したMOVEではオーダーの際に「ハイパー道楽の記事を見た」と言うと東京マルイのベアリングバイオ0.25gBB弾が1袋サービスになる。
一度ショップに足を運んで実際にトレポンを手にとって試射してみるのも良いだろう。
MOVE
〒130-0014 東京都墨田区亀沢4-15-11
TEL:03-6751-8678
毎週月曜日定休
http://tokyo-move.com/
SYSTEMA
http://www.systema-engineering.com/(英語)
2014/09/18
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