東京マルイ 電動ガン HK416D
実銃のHK416はドイツH&K社が2005年に開発した5.56mm×45弾を使用するアサルトライフル。米コルト社が開発し、現在も米軍で使用されているアサルトライフル"M4カービン"をベースにH&K社が独自の改良を施したM4クローンだ。クローンとは本家のコルトM4カービンに対して別会社が改良やOEM、コピー製造されたものを意味する。HK416のもっとも大きな改良点としては、M4カービンのガス作動方式であるリュングマン方式から、ショートストロークピストン方式へと変更されたこと。
発射ガスをフロントサイトベースからバレル上のガスチューブで導き、ボルトキャリアに直接吹き付けボルトキャリアを後退させるリュングマン方式に対し、H&K G36シリーズの様にフロントブロック部に設けられたガスピストンでガス圧を受け止め、その力をロッドに伝達しボルトキャリアを押し下げるガスピストン方式はレシーバー内部をクリーンに保つことができ、作動性も向上する。
HK416は米陸軍や特殊部隊でも一部限定的に採用されており、日本でも海自のSBUをはじめ、自衛隊の一部部隊が試験的に導入しているという。
HK416の登場する映画と言えばやはり「ターミネーター4」(2009年 米)だろう。ジョン・コナー演じるクリスチャン・ベールが使用するHK416はストックとグリップの形状が旧タイプ。
光学照準器はC-MOREのオープンドットサイト、レール側面には大型のウエポンライト(SUREFIRE M962か?)を装着している。
東京マルイ 電動ガン HK416D スペック & 弾速データ [ ]内は10インチバレル時 | |||||||||||||||||||||||||||
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パーツリスト |
そしてついに東京マルイの次世代電動ガン新商品として2012年12月、HK416Dが発売された。
それではそのHK416Dをみていこう。
パッケージデザイン。
92.5cm(幅)×32.5cm(奥行)×11cm(厚み)。
パッケージ内容は本体、マガジン、SOPMODバッテリー用専用コネクター、保護キャップ、チャージャー、チャージングロッド、クリーニングロッド、取説とBB弾少々。
レシーバー左面。レシーバーはアルミダイキャスト製でアルマイトと焼付塗装で仕上げられている。ブラックで引き締まった印象だ。そしてHKマークを始めとするレーザー刻印が入れられている。セレクターのマーキングはHK独自のピクトグラム。もちろん最終弾を撃った後ユニットが停止するオートストップ機構も搭載する。
レシーバー右面。マルイM4シリーズ初の左右両側から操作できるアンビセレクター!! ギアを介して左右を連結している。
コルトM4A1に比べ、ピストンロッドのスペースを確保するためにレシーバーのトップレールの位置が高い設計。エジェクションポートのダミーボルトキャリアにもHKのマークが入り、焼色が入った様な美しい色合い。マガジンキャッチボタンは実銃に合わせてプラ製となっている。
MADE IN JAPAN、マルイの刻印が浮いているのがちょっと...。それとマガジンハウジング右面には本来H&K社名とMADE IN GERMANYといった刻印が入るが流石にそれは入れられなかったのだろう。
レールハンドガードとレシーバートップレールにも連番のレールガイドナンバーがレーザー刻印されている。接合部もガッチリしていて剛性感が非常に高い。もはやガタつきなど皆無。
レールは切削加工されたアルミ製でマットな仕上がり。溝の深さも3mm均一で非常に高精度な作りとなっている。レールの幅は21.3mm、ピッチは10mmとピカティニー規格に準拠。
このレール、マニュアルによると根元の大きな+ネジで取り外せる様なのだが、専用の治具が必要で分解はオススメできないそうだ。実際、普通のドライバーでは回せないほどに固く締まっており、傷つくのでヘタに取り外そうとしない方が良いだろう。しかしこのレール内にHK416独自のガスオペレーティングロッドが再現されているので、それを眺めて楽しみたいという気持ちもある。
14.5インチ仕様のフリーフロートバレル。バードケージタイプのフラッシュハイダーおよび、アウターバレルともにアルミ製の切削加工。
ガスブロック両側にはスリングフック、下部にはバイヨネットラグも装備される。またフロントサイトはMP5にみられる様なHK独自のサイトガード付きプレートタイプ。調整はできないがレールから取り外すことができる。
フラッシュハイダーを取り外せばM14逆ネジ仕様、またバレルチェンジシステムにより、アウターバレルを取り外すこともできる。
アウターバレルを取り外してフラッシュハイダーを直接取り付ければ10.4インチバレル仕様に早変わり。
取り回しが断然良くなる。
取り外し可能なリアサイトも、HK独特のドラム回転タイプ。1~4のオレンジの数字で遠近の射撃を切替える。
チャージングハンドルはグローブ装着時でも確実に操作できる大型のラッチレバーが装備される。
可変ホップアップを搭載。チャージングハンドルを引けば連動してダミーのボルトキャリアが後退、バレル同軸式のホップ調節ダイアルにアクセスできる。
実銃同様マガジンハウジングの前面に警告文が入る。またハウジングの角が角張っているのもHK416レシーバーの特徴。マグウェル部分のアングルもコルトレシーバーに比べて水平に近い。
HK416D独特の樹脂製グリップ。シボ加工された質感がよく、形状も丸くとても握りやすい。
このグリップ内にEG1000ハイトルクモーターを内蔵する。ただ、モーター内蔵ということもあり、実銃とは微妙にアングルや形状が異なるとのこと。
ストックは6ポジションのリトラクタブル。M4同様に下面のレバーで伸縮操作する。バット部はワイド&ゴム製なのでしっかりとホールドできるが、M4のクレーンストックに比べてもやや大柄なので好みが分かれるところだろう。バット面がラウンドしているので銃を立て掛けるには不便か。
このストック内にバッテリーを収納する。矢印のボタンを押すとバット部を取り外すことができる。
バッテリーはSOPMODタイプを使用する。ヒューズもこの位置にある。
SOPMODバッテリーはコネクターが独自で使い勝手が悪いので、今回はトリガートーク製の変換コネクターを使用し、ET-1リポバッテリーを装着した。
7.4V 1400mAhで、サイズは124.5×20.3×11.6mmのものが片側に納められ、コネクターを反対側に収納する。
ちなみにこのバッテリーはSOPMODのクレーンストックには入らなかったので、その場合は二股のセパレートタイプを使用する。ET-1リポバッテリーの特集記事はこちら
マグウェル形状もSOPMOD M4に比べて傾斜が大きく付いてマガジンを入れやすくなった。
また、トリガーガードの幅は1mmほど細くなり、実銃の幅に近くなった。
スチールプレス製のマガジンは6mmBB弾を82発装填可能。内部のユニットを取り出してスイッチを切替えればリアルカウントの30発に変更できる。
サイズはM4A1マガジンに比べて少し長い。
マガジン側面には5.56mm x 45とAKという刻印がある。AKというのはおそらく製造年月を表し、Aが1を、Kが11を示す。マルイが取材した実物が2001年11月製造だった様だ。
また純正オプションで520連マガジンも発売されている。価格は3,980円(税別)。
14.5インチバレル時、マルイ純正SOPMODバッテリーを装着しての実測重量は3,565g。かなりの重量感。
SOPMODバッテリー単独の重量は201g、ET-1リポバッテリーと変換コネクターの重量は68gなので、これだけで130gは軽量化できる。
マガジン単独では228g。M4マガジンは224gなのでそれほど大きな差は無い。
バレルチェンジのアウターバレルはアルミ製なので単独重量でも55g程度。
HKタイプのアイアンサイトはフロント、リア合わせて191g、これをMBUS2に変更すればさらに130gほど軽量化。バッテリーと合わせて総重量では約3,250gまで減量できる。
さて実射。今回使用するバッテリーはET-1のリポバッテリー。7.4V 1400mAh 30Cのレッドライン。リポバッテリーはニッケル水素バッテリーに比べて突入電流値が大きいのでレスポンスの良い射撃が楽しめる。とくにSOPMODバッテリーの場合、リトラクタブルストックのコネクタなどで電流をロスしやすい。
上記のバッテリーを用いて回転数は秒間12.8発というサイクルになった。
初速は箱出しで93m/sと十分な初速、命中精度もレシーライフル並みに良いとうマルイ広報の宣伝文句通り、ド真っ直ぐに飛んでいく素晴らしい弾道。
そして次世代M4シリーズ共通のリコイルバッファチューブ内のシュート&リコイルエンジンによる射撃感、オートストップ機構による最終弾射撃後のユニット停止など、撃っていて楽しい演出も盛りだくさん。
質感、剛性感の高さ、各部の仕上げの良さ、操作のしやすさ、バレルチェンジシステム、そして性能、文句のつけようが無いほどに素晴らしい出来の電動ガンと言える。
正直M4バリエーションはもうお腹いっぱい、なんて思っていた部分もあったが、実際に撃って遊んでみるとSOPMOD M4からずいぶん進化していると感じる点も多く、その完成度の高さに驚かされる。
そしておそらく2013年の夏までには昨年ホビーショー発表されたHK416Dの純正オプション、M320A1グレネードランチャーが発売になるのでこれまたカスタマイズが楽しみな展開。
これほどまでに所有感を満たすHK416D、もうこれは完全にオススメの1丁。
実際に1日サバイバルゲームで使ってみた感想を。
1月下旬の寒い日だったこともあり、素手で持つとアルミダイキャストフレームは氷のように冷たい。取り回しを良くするためバレルは10インチにし、軽量化でMBUS2、ドットサイトにC-MORE、マガジンはHKM企画 P-MAG カバー化した。バッテリーはET-1 Li-po 1400mAh。
プレートキャリアを装着して構えると幅広のストックがデカく感じるが、使っていたらだんだん慣れてきた。
チームメイトのカスタム例。Aimpoint T-1タイプドットサイトにレーザーモジュール、MBUSにウエポンライトというセッティング。レールカバーと定番のP-MAG。バーティカルフォアグリップは安定した射撃には必須アイテムだ。
当日は気温が低いこともあり、バッテリーの持ちが悪く、1600発位の消費で1400mAhのリポでも2本目が必要になった。次世代と言うこともあってか燃費はあまり良くない印象。
射撃音はバキャキャキャンとかなり派手なので、フィールドでも目立つ。シュート&リコイルエンジンによる振動で、適当に構えると弾がばらけるが、命中精度自体は高いので、しっかりと構えれば有効弾を狙ったポイントに集められる。遠くまで真っ直ぐに飛ぶので、撃ち合いになってもなかなか撃ち負けることも無い。この日もバシバシと敵を倒すことができた。
予備銃に軽量なPDWを持って行ったが、楽しくてHK416Dばかり使っていた。
次世代AR系ではゲームウエポンとしてかなり好印象。ストック交換してバッテリーコード直結、FET入れたりするとよりレスポンスが向上して良いかも。
2013/01/06
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