G&G 電動ガン ARP 9
レポート:戸井 源太郎
G&Gから最新モデルのARP 9のサンプルが届きました。パトリオット系の超コンパクトなM4かと思いきや、マガジンが細くて長いです。これは9mm弾を使用するAR 9mmをモデルに、G&Gが独自にアレンジした電動ガンになります。M4をベースにしていますが、全く別のSMGにみえます。みるからに取り回ししやすそうです。さて、その実力はどうでしょうか? 早速、レビューしてみたいと思います。
AR 9mmは、市街地ではM16の5.56mm弾では威力がありすぎるということから、コルト社が1982年にローエンフォースメント用に拳銃弾の9X19mm弾用のM16として開発したCOLT 9mm SMGがベースになっています。
MP5やUZIなどSMGを使えばよいと思うかもしれませんが、M16と操作が同じということにメリットがあるのです。またMP5やUZIより軽量というのもあると思います。
現在ではCOLTの他、アメリカの各メーカーから民間用にパーツを含めて多種多様なカスタムモデルが開発され、毎年ラスベガスで開催されるショットショーでも多く見かけるようになりました。
一般ユーザーも9mm弾が安いこともある上、標的も拳銃用のプレートでよいことから手軽にシューティングが楽しめるということで人気があります。
しかも反動も少なく、カービンサイズでストックもあるので、非常に撃ちやすいです。私もグアムで撃ったことがありますが、まるでガスブローバックのような感覚で撃てました。50m以内なら面白いくらいによく当たります。
それではG&GのARP 9の各部を見ていきましょう。
スペック & 弾速データ | |||||||||||||||||||||||
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細長いマガジンが特徴の9mm弾用のARをG&Gが独自にアレンジしたモデルです。フレームの素材はナイロンファイバー製でレールはアルミ製です。内部メカにもETU(電子式トリガー)およびMOSFET(電子スイッチ基盤)搭載し、トリガーでフルオート、3バーストに切り替えが可能となっています。モーターもややトルク重視の18,000rpmを搭載し、レスポンスの向上に寄与しています。
黒字に赤い電子回路風のデザインのパッケージです。右に機種名のステッカーが貼られています。プラ製の緩衝材の中にガンが収められています。サンプルなので写っていませんが、取説類も付属します。
細部に異なる箇所はありますが、基本はM4のデザイン、レイアウトを踏襲しています。フレームはナイロンファイバー製で、梨地処理されています。
トップレールもフレーム側はナイロンファイバー製ですが、アルミ製レールとの質感が全く同じで違和感がありません。
ハウジングのロゴは控え目にG&Gのロゴとモデル名が入っています。また5.56mm弾用のハウジング形状は9mm弾用を使用する細いマガジン専用となっています。
トリガーはストレートタイプを搭載しています。ETU(電子式トリガー)、強めのトリガースプリングのおかげでレスポンスはかなりよいです。
またセレクターをセミにしてトリガーを10秒引き続けるとフルの位置で3バースト(フルに戻す場合も同じ)になります。ただトリガーを強く引きすぎるとETUが破損する可能性がありますので、注意してください。
マガジンキャッチはMP5のようなレーバー式に変更されています。トリガーガードもスリット入りのワイドタイプが採用されています。
セレクターは左側のみです。表示はピクトグラムになっています。
グリップはG&GオリジナルのGOG-PISTOL GRIP-V1を採用しています。ラバー塗装され、滑りにくくなっています。
チャージングハンドルを引けば、ボルトカバーがオープンし、ホップダイヤルが現れます。ホップはドラム式となっています。
チャージングハンドルはG&Gオリジナルデザインのアンビ仕様が採用されています。
大型のハイダーが特徴的なマズルフェイスです。レールハンドガード長は5インチで材質はアルミ製です。左右と下面はM-LOKとなっています。
大口径のハイダーは迫力満点です。材質は意外にもナイロンファイバー製でした。これはいわゆるマッシュルームハイダーと呼ばれる、G&Gのオリジナルハイダーでしょうか? 私にはジンギスカン用の鍋のようにしかみえません。急に食欲が湧いてきます(笑)。
このハイダーは14mm逆ネジで脱着可能です。ノベスキーハイダーやショートサイレンサーも似合いそうです。
フリップアップ式のフロントサイトが標準装備です。サイトは上下の調整が可能です。畳んだ状態から起こしやすいようにサイドが大きく抉られています。
リアサイトはナイツタイプのフリップアップ式です。こちらは上下左右の調整が可能です。
ストックは以前レビューをしたG&G製のPDW 15CQBとまた違うデザインで、二段階伸縮式のGOS-5Vストックを採用しています。
伸縮はストック下部にあるレバーを押して行います。ストックの伸縮はちょっと動きが渋いです。
ストック基部には5mmほどのスリングホールがあります。
バッテリーの収納はまず、ストックを外します。
ストックパイプエンドにあるキャップをボタンを押しながら外します。
ストックパイプ内にバッテリーを収納します。収納スペースは約20 X 100 X 16.5mmです。ストックパイプ内にはMOSFETの電子基板、ヒューズも繋がっていますので、バッテリー収納は結構大変です。
リポの7.4V 2200mAhの大容量バッテリーがキツキツですが、なんとか収納できます。コツは、MOSFETをパイプの下部分の四角のスペースに入れることです。
手持ちのバッテリーで試したところ、リポの7.4V/1100mAhと7.4V/2200mAhが収納可能でした。この容量ならほぼ1日撃って遊べるかと思います。
まるでグロッグのロングマガジンのようなデザインです。マガジンもナイロンファイバー製で全長は225mm、重量は143gと軽量です。細いながらも装弾数300発を誇る多弾倉マガジンが標準装備です。
実射テスト
今回の実射テストでは電動ガンに合わせてG&Gのバイオ0.2gBBと0.25gBBを用意し、バッテリーはリポの7.4V 2200mAhを使用しました。距離は40mで人物大ターゲットを狙います。
ホップを調整して、40m先の標的を狙って撃ってみたところ、ほぼボディにヒットしました。ただホップで浮き上がっている感じで狙点より15cmくらい上に当たっている感じでした。
ホップを少し弱くすると今度は40m手前で失速する感じで調整はシビアでした。しかしほぼ弾道に乱れはありません。
50m射撃も行なっていましたが、かなり角度をつければ、届きますが、当てるのは難しいでしょう。どうやら40m強が有効射程と考えたほうがよいでしょう。
それでもサバゲーには充分な性能を有しているといえます。
次に0.25gBBでテストを行ってみたところ、驚きました。40mでも狙ったところにビシッと当たります。アイアンサイトでもピンポイントでヒットできました。
試しに0.25gBBでも50mで撃ってみたところ、やや上を狙ってですが、見事ヒット。5インチ、128mm程度のバレルで50mまで、ほぼまっすぐ飛ぶとは驚きです。0.25gBB弾との相性はバッチリのようです。
またETU(電子式トリガー)による3バーストも試してみました。トリガーを10秒引き続けるだけで、簡単に3バーストに変更できます。ちょんと一瞬トリガーに触れるだけでも、確実に3発ずつ発射されます。無駄弾を使わず、狙ったところに弾幕を張れる3バーストはサバゲーでは有効だと思います。ちなみに3バーストの状態でバッテリーを外すとフルにリセットされます。
総評
いつも通りの一連の実射テストを行い、その結果、まず弾道のよさが挙げられます。
特に0.25gBB弾での直進性、精度の高さに驚かされました。
電子トリガーのETUとMOSFETによるレスポンスのよさと、速射での追随性も素晴らしいです。まずトリガーロックはないでしょう。またこのサイズの電動ガンでは問題となりがちなバッテリースペースについてもリポ7.4V 2200mAhが収納できるのは便利です。
気になった点としては、まず連射サイクルです。射撃時は全く感じませんでしたが、計測してみると、659rpm=秒間約11発というのはスタンダード電動ガンとしては少し遅いと思います。いろいろバッテリーを変えてみましたがほぼ同程度のサイクルでした。
次にそれほど連射したわけでもないですが、300発ほどの射撃で、グリップがほんのり熱くなったのが気になりました。
あとはショートバレルの性質上、発射音が大きいことです。しかし、ここは賛否が分かれるところですね。発射音と関連あると思いますが、射撃後のスプリングの“ビヨヨ〜ン”という音が頭に響きます(笑)。メインスプリングのノイズがストックを伝わり、銃を構えている耳元で聞こえてくるのが、結構、気になりました。
結論としては電動ガンとしての欠点や問題はないということです。ポテンシャルはかなり高い1丁といえるでしょう。
ただし、MOSFETなど電子回路が組み込まれた電動ガンなので、扱いに注意が必要なことがあります。まずバッテリーが弱くなってきたと感じたらすぐにバッテリーを交換してください。MOSFETが破損する恐れがあります。また使用後はバッテリーを外すこと。繋いだままにするとバッテリーが破損する可能性がありますので注意してください。あと基本ですが、水に濡らしてはいけません。
ここ1、2年でG&Gの電動ガンの技術が熟成されてきており、最近の新製品はどれも優秀です。もちろんARP 9も命中精度、飛距離とも素晴らしい結果でした。またナイロンファイバー製のフレームも質感よく、剛性も高く、構えても全く軋みません。またそのおかげで重量が2kgと軽量にまとめられたのも大きな利点でしょう。
コンパクトで軽量ということでインドア戦用かと思いきや、取り回しもよいので、フィールドを縦横無尽に駆けるアタッカー用として、そして命中精度を活かしてスナイピングもできるオールラウンダーな電動ガンとしてアウトドアフィールドでも存分に活躍できるでしょう。それにこのサイズなら女性ゲーマーにも最適だと思います。
そしてETUとMOSFETなど電子回路が搭載されているのにもかかわらず、市場価格で2万円台と超お安いのです。今、市場にあるスタンダード電動ガンの中で、G&G ARP 9と同程度の精度と性能を持ち、電子回路搭載というモデルは、この価格帯ではないでしょう。
今までは実銃にないモデルは好みではありませんでしたが、サバゲーで勝つための、勝てるよう特化した電動ガン、G&G ARP 9はすごく気に入りました。手に入れても後悔することはない1丁でしょう。もし後悔するとしたら手に入れず、敵がARP 9で現れた時でしょう。
撮影協力:ビレッジ2
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